So-net無料ブログ作成
検索選択

コンプレッサープラグインを聞き比べてみました Urei1176編(2012追加版) [DAW / DTM ソフトウェア(コンプ・リミ)]


dtm_comptest1.jpg

2012/01/04 1176系コンプを3つ追加しました。
2009/09/20 少し深めにコンプをかけてファイルを全て入れ替えました
ここのブログは“シンセサイザーについて一辺倒”ではなく、節操無く趣味のDTM/DAWについて書いています。
ということで、今回はプラグインコンプの比較です。
といっても、コンプレッサー(以下:コンプ)というエフェクター自体の使い方として大まかに2通りあるのですが、

・単一トラックの音をしっかり聞かせるために“音圧”を上げる
・ある程度の数をまとめたミックストラックの“ノリ”を整える

こんな感じです。
単純に前者はスレッショルドという“どのくらい下の音量からコンプを効かせ始める”をある程度深くかけて、大きな音量と小さな音量の音量差を圧縮して全体を持ち上げて、埋もれてしまいがちな音の余韻部分を大きく聞かせたりします。
後者はスレッショルドは薄めで各楽器のアタック部分を音量的に整えたり、余韻部分の下がり方を揃えたりして、各楽器の分離を良くしたり逆に一体感を出したりします。

本当にコンプの使い方は難しくEQみたいに効率的に目で確認できるものではなく、スレッショルド、アタック、リリース、コンプレッション比率、ゲインという5つしか設定できないくせにその調整のために夜も眠れなくなってしまいます。更には当然ですがメーカーごと機種ごとに味付けが違うということでもう何を買えばいいのやらです。

今回は試聴用ファイルと私の都合で使い方は“ヴォーカルをハッキリ聞かせたい”として、モデルとなる3機種それぞれのページに分けています。

 このページはUrei 1176編です。
 TELETRONIX LA-2A編のページはこちら
 Fairchild 670編のページはこちら

さて、シミュレーションのモデルとなったUrei 1176を雑誌やどこかで聞いたりしたことをブログらしく転用してまとめると、現在はUNIVERSAL AUDIO社が復刻していてハードウエアとしても購入可能です。
http://www.electroharmonix.co.jp/ua/1176.htm
これについてはオリジナルを徹底再現とか謳っていますし、「オリジナルとは違う!」みたいな意見も聞いたことはあまりないので良いできなのではないかと無責任に思ったりしています。
この1176の特徴は特にボーカル用というわけでは無く、とにかくクリーンにコンプレッションして持ち上げることができるというのが特徴で、このクリーンに音圧を上げれることの難しさをやってしまう1176は様々な楽器のトラックにインサートすることができます。軽い言葉で言えば超優等生なわけです。
urei1176LN.jpg
ちなみにそれをブチ壊す全ボタン押しモードも持っています。この全ボタン押しモードの暴れ具合をどこまで再現できるかがよく1176クローンのプラグインの評価でも書かれますが、私はそこは気にしたことがありません。
それを実機で比較する機会などありませんが、オリジナルはパネルの黒とシルバーでアタック感が違うそうです。

そんなとにかくコンプのお手本みたいな1176をシミュレートしたプラグインで今回用意したのは以下の6つです。

・T-RackS 3 Singles Black 76 Limiting Amplifier
・Softube FET COMPRESSOR
・Waves CLA-76 Blacky and Bluey
・Digidesign/Bomb Factory BF76(Pro Tools付属 RATSプラグイン)
・t.c. Electronic 24/7・C(POWERCORE付属 VSTプラグイン)
・Antres 1176ME(ANTRESS(フリーソフト VSTプラグイン)


------- ↓↓↓ この文章各ページは同じです ↓↓↓ -------
素材は超手抜きの素材集から適当に組んだオケと英語女性歌トラックに8分のディレイをセンドで合わせています。このページで聴けるMP3はLAMEエンコーダで変換した320Kbps / ステレオ / Quality / MP3です。
使用ソフトウェアは録音、編集、書き出しの全てをPro Tools M-Powered 8でやっています。
例によって例のごとくこのサイトは個人的趣味ですので外部リンクなどは正確にメーカーサイトに飛ぶようにしていますがメーカーがページを移動したりした場合は見れない場合があります。


今回の目的はオケの中でヴォーカルトラックにコンプをかけて目立たせたいということですが、同じ機種のシミュレートとはいえ各々イイ感じで調整していては比較にならないので以下のルールだけ決めました。

■コンプ無しのオリジナル素材のピークは-7.4dbですのでコンプをかけた後もピークは-7.4dbにする。
■アタックタイムは2.5、リリースは6付近のモデル機種の設定できる範囲で
■GRメーターの触れ幅はなるだけ一緒になるように。
■極端なイン・スレッショルド・アウトにしない。なるだけ標準位置から調整。

と、かなり曖昧ですが、ソフトごとにイン・アウトの概念もかなり違ったために“なるだけ同じ設定値”でとにかく元素材と同じピーク-7.4dbでどんな感じにコンプレッションできるかを念頭にやってみました。
で、結果と感想は以下のとおりですが、感想は私の主観なので試聴音源を聴いてみて各々判断してください。

このページに貼り付けているMP3は320KbpsエンコードにしていますがMP3の特性上違いがよく判りませんので無圧縮16bit/44.1KHzのWAVファイルを1つにZIP圧縮して別サーバーに置いています。音質が気になる方はダウンロード(右クリック:対象をファイルに保存)して聴いてみて下さい。
(対象エフェクターが判りやすいファイル名にしています)

------- ↑↑↑ この文章各ページは同じです ↑↑↑ -------

1176編の無圧縮16/44WAVファイル(zip圧縮)ダウンロード先:
AVAST!にてウィルスチェック済みです。
2009/09/20 少し深めにコンプをかけてファイルを全て入れ替えました
http://edins-design.com/Hiro/music/DigitalMonotone_COMP1176.zip

2012/01/04 追加版のみです。
http://edins-design.com/Hiro/music/DigitalMonotone_COMP1176_2.zip

今回の素材はこれです。
女性英語ヴォーカル+8分ディレイトラック リズム、ベース、ピアノのミックストラック

ここから2012/01/04追加分です。

IK Multimedia / T-RackS 3 Singles Black 76 Limiting Amplifier
メーカーサイト
http://www.ikmultimedia.com/trsingles/moreinfo/black76.php
Black76.jpg
ヴォーカルトラックのみ ミックストラック
2012年1月の時点で有名プラグインデベロッパーとしては最新の1176モデリング・ソフトウェアです。こちらもその他T-RACKSシリーズと同様にシングルシリーズで単品買いができるプラグインとなっておりT-RACKSのVersion 3からは総じて前バージョンよりも音の変化や質感が良くなっているので好評のようです。

このBlack 76とWhite 2AはT-RACKS 3初リリースに含まれたバンドルでは無くて2年ほど“後だし”されたプラグインです。アナログらしさというものではなく実機らしさを追求した感じでそれぞれのノブに対する音の変化具合がとてもスムーズで、個人的にはヴォーカルの“たちつてと”がしっかりと立ち上がるこのBlack 76が1176系の中ではお気に入りです。



Softube FET COMPRESSOR
メーカーサイト
http://softube.se/fet_compressor.php
softubefetcomp.jpg
ヴォーカルトラックのみ ミックストラック
実機との比較音源をサイトに掲載しその音質の再現性で一躍有名メーカーになったSoftubeの1176です。Softube社リリースのプラグインとしては初期のものでそれまでは他社OEMソフトウェアを開発するメーカーだったのですが、このFET COMPRESSORから自社リリースが目立つようになりました。
真空管エフェクターのプラグイン化にて高評価を得ているSoftubeですが、なんというか回路物全般のモデリングでその高い技術力を感じ取れます。

このFET COMPRESSORは仕様と版権の問題から1176と名づけられる事がなかったのですが、その仕様の一つとして実機には無いサイドチェインに対応しています。 1176でサイドチェイン。FETのキビキビとしたアタックへの反応という特徴からとても有意義な機能で新しいというよりも更に面白い使い方ができる1176と思います。 VST3からはプラグインの仕様としてサイドチェインに対応しているのですが、この1176がリリースされたときはまだVST2.xの時期で本プログラム上でサイドチェインを行っています。
見た目も1176とはまるっきり違うのですが、音質的にはやはり旧世代の1176よりも“実機らしさ”を上手く再現できています。




Waves CLA-76 Blacky and Bluey
メーカーサイト
http://www.waves.com/content.aspx?id=9311
cla_black_76.jpg
ヴォーカルトラックのみ ミックストラック
Wavesの近年におけるアナログ名機シミュレーションシリーズのうちの有名エンジニア所有の物を再現するというアーティストシリーズの1176です。個人的には同ラインナップのCLA-3A(http://www.waves.com/content.aspx?id=9350)は気に入ってしまいRenaissanceバンドル(現在は+αされてRenaissance Maxxバンドルとなっています)以来、久々にポチリました。
このClassic Compressorシリーズはそれぞれの個々の出来に差があるように感じるのは私だけでしょうか(笑)

CLA-3Aが良い感じでお気に入りなので、同じFETコンプのCLA-1176にも期待したのですが、過去記事分を含めて一番入出力ゲインに対する挙動が大げさな気がしました。
特に非もなく不可もなくというか、もし1176を所有していなくてWavesのバンドルを買ったときにこのCLA-76が同梱されていたら、それはそれで買い足す必要がなくなるのでいいかもというお茶を濁す解説しかできない気がします。ただし、1176大好きで“メインは1176!”な方には物足りないかもです。




個人的な総評
1176はFETコンプでいわゆるチップ制御なわけですが、真空管タイプのコンプレッサーには無い素早いアタックへの反応と入力ゲインに対するキメ細やかさが特徴で、個人的にはシンバルやハイハットなどのオフマイク金物系以外なら何でもイケちゃうと思っています。
この1176のやはりプログラムの設計が新しいIK Multimedia / T-RackS 3 Singles Black 76 Limiting AmplifierとSoftube FET COMPRESSORは入出力とアタック・リリースのノブに対する挙動が一世代違うなぁと感心するしかない出来栄えだと感じました。

今回、銀パネルと黒パネルを混在させてしまいましたが、やはり1176の黒はヴォーカルのコンプはもちろん20:1によるリミッティング、キックドラム、ベースなどなど、強調ではなく存在感をしっかりとフォローする素晴らしいコンプレッサーです。
ちなみに私はスタジオでの活動時期に師匠から4つ押しは硬く禁止命令が出ていたのでその音は知らないのでプラグインでもほとんど使った事がありません(笑)


ここから2009/11/12にUPした記事です。

Digidesign/Bomb Factory BF76
メーカー日本語サイト
http://www.avid.com/jp/products/Free-Bomb-Factory-Plugins
BombBF76.jpg
< ヴォーカルトラックのみ ミックストラック
Pro Toolsバンドルのプラグインです。オリジナルを忠実に再現という謳い文句どおりに“とりあえず1176挿しておくか”というときはこれを挿す人が多いようです。

歪感もなく1176っぽく綺麗に持ち上げます。アタック部分も自然なカーブです。全体的には中域から高域にかけて優しい感じの1176らしいコンプと言えますがが、これも定番の作業である“コンプの後で高域を少し持ち上げる”へとすんなり慣れた作業で音作りが予測しやすいといった感想です。他の2つに比べると少し中域の密度が濃い印象です.




T.C. electronic POWERCORE 付属 24/7・C
メーカー日本語サイト
http://www.tcelectronic.co.jp/24-7C.asp
tc247C.jpg
ヴォーカルトラックのみ ミックストラック
POWERCOREバンドルのプラグインです。これもオリジナルを忠実に再現が謳い文句で、リミッティング時のドライブ感なども再現しているということです。POWERCOREの付属プラグインは意外に真面目に作られていて使えるプラグインが多いのです。

今回テストした中で女性ヴォーカルにかけるのであれば一番好きな1176です。もし男性ボーカルや他の楽器ならBF76の方がしっくりいく感じです。ヴィンテージの再現とは言いがたい?少し高域が明るく仕上がります。それでも全体的な自然な押し出し感は1176シミュレーションと言ってもいいのかな?という感じです。




Antres 1176ME
メーカーサイト(英語)
http://antress.myweb.hinet.net/
Antres1176ME.jpg
ヴォーカルトラックのみ ミックストラック
AntressはフリーVSTプラグインを開発配信しているメーカーで、Modern Pluginsはそのラインナップです。特に説明が無いのでどういった再現手法をとっているのか判らないのですが、そのデザインや操作性で明らかに判りやすいシミュレートモデルを作っています。

上記の2つを聴いてみて「やっぱ無料じゃあこんなものか」で掲載したわけではありません。眉唾的に実験してみると困ったことに上の二つと遜色が無い出来栄えです。音質的にはBF76と24/7・Cの中間で押し出し感とアタック感は強めです。フリーソフトでここまでやられると困ったなぁと思いつつ、もう少しバージョンが上がって熟成されたころに期待したいプラグインです。



個人的な総評
ビンテージエフェクターは製造時期やロットによって音質が違うのはよく言われることですが、今回の3つの1176シミュレートプラグインはどれもその範疇に収まると思います。
ちなみに個人的には1176は女性ヴォーカルのリミッティングとして良く使っていて、今回のようなボディを持ち上げる使い方はあまりした事が無かったのですが、どれも綺麗に持ち上がるので感心しました。
コスパで言えば、1176MEがそりゃ無料でこれだけやられたら・・・という感じですが、BF76の中域のふくよかさも捨てがたいです。
ただし、それぞれに設定範囲はまだ余裕があるので、今回は“同じ設定ならどうなる?”ですが今よりも明るい感じにとか、もっと押し出したいなどはできるので、少しずつの変更でかなり似た感じに詰めることができると思います。
今回も最後は逃げ逃げな意見で、リミッティングなら24/7・C、コンプとしてならBF76か1176MEのそれぞれのアタック感と楽曲のノリ次第で・・・といったどれに決めるわけでもなく逃げたいと思います。

 このページはUrei 1176編です。
 TELETRONIX LA-2A編のページはこちら
 Fairchild 670編のページはこちら

nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(3) 

nice! 0

コメント 6

いとひろ

2009/09/19にアップした本3記事ですが、ヴォーカルのディレイを少し薄くノイズ処理、各コンプをもう少し深めにコンプレッションしなおして、2009/09/20に全音源ファイルをアップしなおしました。無圧縮WAVのzipもアップしなおしています。

深めのコンプをかけていて気づいたのですが、Antresのプラグインはどれも効果のかかり方とインプットとゲインの関係が他のシミュレート系とは感覚が違っていて、ダイヤルを回す量に対して“効果がかかるポイントが狭い”気がします。
ですが、音質的には感想のとおりでフリーとは思えない出来栄えです。
by いとひろ (2009-09-20 13:22) 

sync

フリーなのに凄いです。
私の糞耳では違いがあまり分かりませんでした。
by sync (2010-02-18 04:15) 

いとひろ

自分でグリグリやらせてもらわないと、切れ方の変化の仕方具合とか飽和感で違いがある程度で、なんというかブラインドテストしたらヤマ勘50%しちゃいそうです(笑)
by いとひろ (2010-02-22 03:16) 

スドコ

Protoolsで使用するコンプレッサーの比較記事を探して、やってきました。非常に参考になりました。自分が言葉にしたときと表現が違って、興味深く読みました。Antressは存在もしらなかったので、今度使ってみようと思います。

ところで、非圧縮WAVのURL、間違えてないでしょうか?DLしたものがCOMPLA2Aと書かれていたのですが。。。
試しにURL末尾をCOM1176とするとDLできてしまいましたが。


by スドコ (2010-03-24 01:09) 

いとひろ

こんにちわ。
ダウンロードファイルのURL修正しました。ご指摘ありがとうございました。
1176ってコンプの基本みたいな機種ですので、色んなメーカーから出てるし選択肢は多いと思います。Pro Toolsなら付属のBomb Factoryで十分かなぁとか思いつつ今は違うのを使っています。その辺はまた記事エントリーしたいと思います。
by いとひろ (2010-03-24 09:22) 

図画

夫婦で地味に宅録をやっている図画というものです。ちょうどトータルコンプを何で掛けようか悩んでいたところで、こちらの記事が大変参考になりました。Antres 1176MEを使って、そのフリーとは思えない出来に感激しております。いずれ、本物の1176を所有したみたいと夢見ております。

by 図画 (2011-07-27 12:51) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 3

コンプレッサープラグインを聞き比べてみました Fairchild 670編(Digital Monotone 2009-09-20 13:15)

2009/09/20 少し深めにコンプをかけてファイルを全て入れ替えました コンプレッサー(以下:コンプ)って最初は知っている中では一番最後に買うエフェクターと思っていましたが、使い方を修得するのに一番時間がかかるエフェクターだなぁとシミジミと思います。 ちなみに…[続く]

Digital Monotone(Digital Monotone 2009-09-19 22:45)

Digital Monotoneどんな曲作ろうかなぁとか新しいシンセ欲しいよぉとか。毎日が挙動不審。お知らせ日記以外の記事についてはなるだけ情報(バージョン更新情報など)を新しくしようと思っていますが放置も多いです。古い情報のままの記事もありますのでご注意ください。 ■ 最新更新 コン…[続く]

コンプレッサープラグインを聞き比べてみました TELETRONIX LA-2A編(Digital Monotone 2009-09-19 22:22)

さて、連休にこんなことしかやる事がない時点で“少し寂しい人生”を演出してしまいますが、こんなことでもやってないと暇でテレビに向かって会話をしてしまいそうだということでブログを書きます。 今回実験した3種類のヴィンテージコンプ以外にも素晴らしいコンプレッサー(以下:…[続く]

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。